とある理系の気まぐれ随筆

極めて適当に書いた、どうでもいいエッセイです

「おばあさんのお口は、どうしてそんなに大きいの?」

「節子、それおばあさんやない。狼や」


皆さんこんにちは!!


前回は唐突に(ふざけてない)短編小説を投稿してしまい、エッセイを楽しみにしてくださっていた方々には申し訳ありませんでした。


…しかし、エッセイを楽しみにしてくださっていた方々というのが果たして存在するのか?…という議論もあり、このお詫び文が本当に必要なのかどうかについては現在有識者の間で意見が分かれております。今後の動向に注目です。


さて、今回のテーマは「狼」です! 以前別のエッセイの雑談コーナーにて「赤ずきんちゃん」に対する意見を言わせていただいた僕ですが、そう、狼と言えば真っ先に思い浮かぶのは赤ずきんちゃん!! 違いますか!? そうですよね!? てなわけで、前回は雑談にすぎなかった赤ずきんちゃんを、本日は本題にもってくるぜ!! 出世したな、赤ずきん


それにしても「赤ずきん」って、人につける名前としてどうなんでしょう。日本人に当てはめたら、「佐藤帽子」とか「田中ヘルメット」ってことですよね? 親はどんな心境で「赤ずきん」なんて名前を娘につけたんだ…。


いや、あるいは「赤ずきん」は本名ではなく、コードネームの類なのかもしれません。だとしても、どうしてコードネームなどというものがあのような女児に必要なのか…。もしかしたら、おばあさんに届けようとしていたモノというのがヤバいクス…いや、憶測でモノを語るのはやめましょう。そして、今回のテーマはあくでも狼なので、赤ずきんちゃんについての言及はこのくらいにしておきます。


しかし、狼ってどうして悪役ばかりなんですかね。見た目なんてほとんど犬だし、というか犬は狼の子孫だし、目つきもそんなに悪くはないと思いませんか? 


犬とよく対比される猫に関しては、原種のヤマネコが悪役として登場する話なんて聞いたことがありません。基本的に単独行動で自分より大きな動物は襲わないヤマネコに対し、狼は群れで行動して人を襲う可能性がある、そもそも体が大きく気性も荒い、狂犬病などのウイルス感染で凶暴化しやすい、などというネガティブポイントは確かにありますが、それだけで悪役にされてしまうなんてなんとも不憫な話です…。


赤ずきんちゃんに登場する狼は、赤ずきんからおばあさんの家の情報を聞き出した後、赤ずきんより先におばあさんの家へ行きおばあさんを捕食、遅れて到着した赤ずきんも丸呑みにしてしまいます。


赤ずきんはおばあさんと狼の見分けがつかないというとんでもないドジっ子属性を惜しげもなく発揮することになりますが、そもそも狼がおばあさんのふりをする意味がよくわかりません。だって、赤ずきんは見ず知らず(?)の狼に、おばあさんの家を簡単に教えてしまうくらい警戒心がザルなのです。


こんな危機管理能力のない娘、おばあさんの家の前でただ突っ立ってるだけでも、「あら狼さん、また会いましたね」なんて言いながら無邪気に近づいてくるに違いない。狼はなんて無駄な努力をしたのか…。


とは言え、無事目的を果たせた狼は、満足してぐっすり眠ってしまいます。通りすがりの猟師に自分のお腹を引き裂かれても、全く目を覚ましません。恐らく、猟師は獣医師の免許も持っていて、狼が痛みで起きないよう予め麻酔か何かを施したのでしょう。


しかも驚くべきことに、その狼のお腹の中から、赤ずきんとおばあさんが全くの無傷で生還します。どうやら狼は、2人を一切噛み砕くことなく、文字通り丸呑みにしたようなのです。コイツ、本当に狼か…?


こうして2人を助け出した猟師面をした獣医師は、直後に恐ろしい提案をします。


「狼のお腹に、石をめいっぱい詰め込んでやろう!」


…いや、悪魔かこいつ。狼が2人を食べたのは、生きるために必要だったからです。もちろん人間側だって死にたくはないですから、救える命を救ったまではわかります。人の味を覚えた狼は危険ですから、駆除する必要はあるかもしれません。


だとしても、ですよ!! 狼のお腹に石を詰め込んであえて目覚めさせて、苦しみに悶え死んでいく様子を観察する必要ありますか!? 狼だって今まで必死に生きてきたんです。2人を助け出した後は、敬意を表して安楽死させてあげるのが筋ってもんでしょうよ獣医師さん!! あんた獣医師なんかやめちまえ!!(…本当に獣医師のなのかどうかは知りませんが)


こうして、この物語は「言いつけを守らず道草した赤ずきんが悪い」的な結論で締め括られます。しかし本当の悪は、いらずらに命を弄び、狼をいたぶり殺してもなんとも思わないその人間の心ではないでしょうか。


…最後の一文は、是非赤ずきんのラストに付け加えていただきたいですね。それではまた来週〜